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「将来の夢」がなかった私がOSGのころに出会いたかった絵本

巷では「シューカツ」(就職活動)のシーズンのようですね。今は活動期間も長くなり、折りしもこの経済情勢です。親子スタイルでもこのように「今の就職活動についてアドバイスください」とありました。対象となる学生さん、親御さんはいろいろご心配でしょう。

私が就職したのは今から10ン年前です。ちょうどバブルが終わった「就職氷河期」のはじまりで、状況は厳しかった方だとは思いますが、それでも時代が変わっていますし、具体的なアドバイスというのはできないのですが、私が「就職活動をするまでに出会っていたかったな」と思う絵本がありますので、それをご紹介させていただきます。

ルピナスさん―小さなおばあさんのお話

ルピナスさん―小さなおばあさんのお話』です。作者はバーバラ・クーニーという女性です。

ある女の子の一生のお話です。ある日、幼い少女は「大きくなったら・・・」という話をしていたときに、おじいさんからこう言われます。「世の中を、もっとうつくしくするために、なにかしてもらいたい」。

「いいわ」 ―― 何をしていいのかは分からないものの、少女はおじいさんとそう約束しました。

成人した少女は、図書館で働きながら世界中を旅していました。おじいさんとの約束は覚えていましたが、何をしていいかは分からないままでした。

年を取った彼女は具合が悪くて寝込んでしまいます。庭に植えていた大好きな「ルピナス」の花を増やしたいと思っていたのに、窓から見ているだけになってしまいました。

次の年、体の調子が良くなって家とは反対の丘に行ってみると、ルピナスの花が咲き乱れていました。自分の庭のルピナスがつけた種を、風や小鳥が運んでくれたからだと分かった彼女は、すばらしいことを思いつきました。

おじいさんとの小さいときからの約束です。それを果たすために、ルピナスの種をあちこちにまいて歩くことで、村中をルピナスの花でいっぱいにしたのです。

そうして彼女は「ルピナスさん」と呼ばれるようになりました。おばあさんになりましたが、子どもたちに、自分が小さいときにおじいさんと約束をしたこと、若いときに世界中を旅したこと、そしてルピナスの花で村を美しくしたことを話しながら、「世の中を、もっとうつくしくするために、なにかしなくては」と伝え続けているのです――

どこにでもいる普通の女の子が、ごく普通の大人になって、おじいさんの約束を忘れず、自分のできることで世界を美しくする・・・このことに私は感動しました。

私は学生時代に「夢」というものを持てませんでした。だから就職活動には苦労しました。「やりたいこと」、「なりたいもの」がなかったんです。

それは多分、成長するにつれて、自分は伝記やテレビに出るような人にはなれないな、ごく普通の人なんだなということが分かってしまったからだと思っています。

OSGくらいのときに『ルピナスさん』に出会っていて「ごく普通に生きていても、自分の力で世の中さえ変えられることがある」ということを知っていれば、ちょっとは「夢」も持てたかな・・・この本を読んだときに思いました。

もちろん、読んでいても変わらなかったかもしれませんけどね(笑)。

なので、自分の子どもたちには、OSGになるころまでにはこの絵本を読んであげたいなと思っています。そして、「お金持ちや有名人にならなくても、自分らしい自分でいれば、世の中を変えることもできるんだ」ということを、何となくでもいいから分かっておいてくれたらなあと思っています。

クーニーの絵は「板に水彩絵の具で描き、色鉛筆でアクセントをつける」という独特の画法だそうです。絵の雰囲気も素敵ですので、「将来の夢が分からない」と悩めるOSGにそっと差し出してあげてみると、何かを感じてくれるかもしれません(文:尾原美保)。

親子スタイルアドバイス
■お勧めの対象 小学校高学年~就職活動期に差しかかる学生さん
■コメント 「夢が持てない」、「将来を思い描けない」という人には何か感じるところがあると思います
■参考 『ルピナスさん』(Amazon)


※当サイトのコラムはスタッフ個々の私的な見解及び文責にて公開されております。

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 コメント(3)

私もこの絵本、大好きです!
バーバラ・クーニーの絵は非常に静謐で、
色に透明感があり、見ているだけで癒されます。
「禅」に通じるような気も・・・

30を過ぎ、子を持ってから知ることですが、
平和にふつうに過ごす日々とは、なんと
しあわせで、貴重な時間だろう、と思います。
ドラマチックでなくても、人を傷つけ、踏みつけて
生きていくよりは、静かに淡々と暮らすことの方が、
人としてはるかに大切なのではないでしょうか。
この絵本は、確かにそれを教えてくれますよね。

ふむふむ、素敵なお話ですね。

とある歌の詞に“誰の命もまた誰かを輝かすための光”というフレーズがあって、初めて聴いたときにおぉ…と思いましたが、それと通じるような気がします。

派手な、誰もに認められるようなことでなくても、人はほかの誰かに影響を与えうる存在なのだ、ということですね。

親子スタイルが対象にしている思春期・青年期のこどもたち(本当はおとなもだと思いますが)は、自分の存在価値を量りかねていて、その行きづらさから自分を過小評価したり、逆に過大に誇示するのだと思います。

他者とのコミュニケーションをつうじて、自分の存在価値を認識するという意味では、以前のこの記事も関係あるかもしれませんね。

コメントありがとうございます!

★だいさんもこの絵本、ご存知だったのですね。
クーニーの絵本は、見ているだけで心が洗われますよね。
日々を確実に生きること、それが時に大きな力になること・・・
30代を過ぎた今なら分かりますが、
OSGだったころには分かりませんでした。
この絵本は、小さい子どもにでもそれを伝えて
くれるのではないかと思っています。

★じょびさん、「誰の命もまた誰かを輝かすための光」も「風船と箱」のお話も
大きくうなずきました。
自分の存在価値を認識するというのはOSGには難しいことだと思いますが、
それを自然な形で助けてあげることができたらいいなあと思います。自分も親子スタイルも!

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