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事件ですらない些細な日常

息子がふさぎこんでいるので、理由を問い詰めると、どうやら音楽プレーヤーを学校で無くしたらしいのです。ただ学校内で私物が無くなったところで、犯人探しはしないし被害届も出さないので、「誰かに持ち去られた」と決めるわけにはいきません。

中学校ぐらいから、最近は学校内で金品が無くなるのは日常茶飯事と聞いてはいました。高校になると鍵付きのロッカーもあるようですが、簡単に壊されるし、それ以上に持ち込んでいるモノが多いので、なんの抑止にもなっていないようです。そもそも、個々をキャッチアップしようとすれば、おそらく毎日が相互監視と全校集会になってしまうでしょう。

学校で無くなるモノの典型は、現金・ケータイ・ゲーム機そして音楽プレーヤーなどのようです。およそ授業には関係ないので、そもそも持ってくるのがイケナイ、だけれどどれも彼らの必須アイテムです。
ついつい昔話になってしまいますが、ぼくらの中高生の頃には、学校で無くなるものといえば、せいぜい筆箱や運動靴ぐらい、現金は使い道がなかったからほんとに小銭しかありませんでした。しかも、たまに「事件」があれば、当事者や経緯も何となく知れてしまう空気があったので、日常的に蔓延するようなこともなかった気がします。


思春期のモヤモヤの発露が、ついヤバイ行動になってしまうのは、程度の差こそあれ誰もが通る道だと思います。ただ程度というのが「モラルのような空気」だったのが、「犯罪かどうか」になってしまうことで、こんな状態が生じてしまっているように思います。「学校内の紛失物は犯罪にしない」という大人のロジックがあるからです。

学校は、子どもの将来を守るために、犯人探しや警察の導入はしません。よって、そもそも余計なモノ持ち込ませないことにします、という最近の学校がらみの事件やケータイの議論もそのものです。議論の余地こそあれ、いたしかたない気もします。

かたや親のほうも自己反省を含めて、結構オカシイかもしれません。
「最近の子どもは、モノを大切にしないし、モラルってものがない」と思いながらも、「また買えば済むだろ、自分で管理するしかないだろ」と、見事なまでの矛盾を子どもに言い放ってしまいます・・・。

大人が「モラルやルール」を語ろうが、こんなギャップが子どもたちにミエミエであれば、「無くし物」が蔓延するのも道理としかいいようがありません。


たまに運動靴が無くなるくらいなら、当事者のココロの葛藤も成長に応じて乗り越えられそうに思えます。けれど、毎日のように誰かの仕業で誰かのモノが無くなるという日常は、僕の感覚からすればあまりにも異常だし、そんな中でよくもまあタクマシク過ごしているなあ、としかいいようがありません。

学校をめぐって、人権や生命にかかわる問題が少なくないのも悲しいことですが、事件や問題として報道されるのは、そこまでいってしまったケースでしかありません。その底辺には、こんな事件にすらならない数え切れない些細なイラダチに満ちた日常が、(どこの学校でも!?)あるからだと思えてなりません。タクマシクもやはりギリギリなのかもしれません。親としてなんとかそれに気づいておかねばなあ、と思います。

(せきね けんいち)



※当サイトのコラムはスタッフ個々の私的な見解及び文責にて公開されております。

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