先月の20日は、初めて休載させて頂きました。その数日前にインフルエンザに感染し、1週間近くも寝込んでしまいました(季節性か新型かは不明)。勤務校では年末から感染者が減少傾向にあったので、このまま収束するのかなと思っていたのですが、どうやら成人式で集団感染があったようで、1月中旬には2年生が次々と発症していたのでした。講義やゼミなどを通じて、発症前の感染者と濃厚接触していたという局面は少なくなかったので、罹患はやむなしです(泣)。結果的に仕事を1週間休み、貴重な休養になりました。
インフルエンザから復帰して最初の仕事は、和歌山出張でした。僕は今年度、和歌山放送が取り組んでいる「日本民間放送連盟メディアリテラシー実践プロジェクト」(以下、民放連プロジェクト)をサポートするアドバイザーとして、10回ほど和歌山訪問を繰り返しています。Twitterでも和歌山に関するつぶやきが、圧倒的多数を占めています。

民放連プロジェクトに関しては昨年度も触れましたが、ローカル放送局と地域の子どもたちによる番組制作の試みで、パイロット研究を含めて約10年の実績があります。専門家が放送の仕事を分かりやすく伝えることが目的ではありません。送り手と受け手が番組制作を通じてリテラシーを学び合い、表現と受容が循環する対話の回路を構築することが企図されています。
民放連プロジェクトの助成を受けて、和歌山で始まったのが「和歌山放送ねくすと☆プロジェクト」。ラジオとテレビの両方を経営している放送局を"ラテ兼営局"というのに対して、和歌山放送はラジオだけの単営局。メディアリテラシーについて考えることを通じて、今のラジオが抱えている課題にしっかりと向き合い、次世代のあり方を構想していこうという意図を込めて、プロジェクトの名前が付けられました。
活動の大枠としては、県下の高校生たちが、和歌山放送の若手局員のみなさん、および和歌山大学の大学生のサポートを受けつつ、デジタルカメラとICレコーダーを用いて、人から人へと何かを探し訪ねるかたちの取材レポートを重ねるというものでした。参加してくれたのは、県立向陽高校、県立橋本高校、県立和歌山高校の生徒さんたちで、お互いに学校が離れていたこともあって、学校ごとにグループをつくって半年間の取材活動をおこないました。その成果は逐次ウェブサイトにアップされ、リスナーが閲覧することができるようにしました。そして年末には、取材して採集した音源をもとに短い番組(録音構成)を制作し、合評会をおこないました。
1月24日(日)の最終報告会は二部構成で、第一部では、年末の合評会でのコメントを踏まえて、制作しなおした番組を再び合評しました。ここでは高校生が主役で、半年間の活動を振り返るとともに、これから放送局でやってみたいことを語り合いました。
そして第二部は、局員のみなさんが主役。和歌山放送がこのプロジェクトに取り組んだ意義、今後の展望について議論しました(したがって、一部と二部のあいだの休憩で、社長さんが帰ってしまったのが残念)。
僕なりにこの半年を振り返ると、決して事前準備が万端だったとは言えず、若手局員のみなさんの持ち前の明るさ、咄嗟の機転で、無事に乗り切ったという感が強いです。圧倒的に風通しがよく、楽しく協力的な協働体制。活動を通じて、ラジオの未来、放送局の将来を市民と一緒に語る土壌を培うことができ、指導する側も学ぶ、一方的ではない「循環型」のメディアリテラシーの萌芽がみられたように思います。また、多忙な若手局員をサポートしてくれた和歌山大学の学生さんたちも素晴らしく、来年度は主役として新しいプロジェクトに取り組んでもらいたいです。
しかし課題も残りました。ひとつだけ挙げておくと、ウェブのシステムを導入したにも関わらず、ラジオ番組と連動することができず、クロスメディアの社会実験としては不徹底でした。去年も書きましたが、高校生たちがラジオに興味を持ってもらうきっかけとして、ウェブを活用するという意味合いもありますが、それと同時に、ラジオとウェブを連動させることで、放送局として、ラジオに新しい価値を見出すことができないかということを試す機会でもあったのですが。
テレビよりも親しみを感じやすい、コミュニティ形成に長けたラジオが、思春期の子どもたちを惹きつける魅力を再生できるかどうか、これからが正念場だと思います。

以下は告知です。
和歌山放送では、2月14日(日)の正午から1時間、このプロジェクトの総括番組を放送するとのこと。和歌山県だけでなく、兵庫、大阪、奈良の一部、四国の一部でも聴くことができるようですので、お近くの方はぜひ。また、2月19日(金)には、東京の日本民間放送連盟にて、今年度のメディアリテラシー実践プロジェクトの最終報告会が開催されます。くわしくはこちらをご覧下さい。
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